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http://arxiv.org/abs/1912.10123 のまとめ
概要
- 対象3タイプ: 量子ドット、trapped quanta (イオン、原子)、NV-center
- 目的: 上限数百kmで、量子中継アリがナシよりsecret-key rate で勝るregime を実験的に見つけたい
- 2タイプを分析
- 高周波クロックでphotonを送出するがメモリ時間が短いタイプ (量子ドット向き)
- 高周波クロックだが効率は概要では触れられてない
- 不要[heralded かつ非破壊で光子の状態をメモリに書き込むのが]なタイプ
- 高周波クロックでphotonを送出するがメモリ時間が短いタイプ (量子ドット向き)
- ブロックとプロトコルはモジュール化されてるので長距離までスケーラブル
イントロ
背景
Point-to-Point 量子リンク (Direct Transmission) の限界に実験で挑戦している話から、量子中継の必要性に話を繋げている。
Point-to-Point 量子リンク (not 量子中継) (chain にすると古典中継)
- 北京-上海 の2000km はchained point-to-point quantum link, これはtrusted node が必要
- 長距離量子リンクは衛星で達成されてる
- が、現状、衛星はtrusted node になってる
- (と言ってるがおそらく Vallone et al.(polarization, decoy)での話)
- 最近こういう研究も出てたLiao et al.(polarization, decoy)
- (Yin et al.(polarization) では衛星は量子もつれのソースノードになってるのでtrusted nodeじゃないはず)
- (と言ってるがおそらく Vallone et al.(polarization, decoy)での話)
- 大きな装置が必要なので、地上局は持ち運べず、(この論文で扱う)地上量子ネットワークが必要
- が、現状、衛星はtrusted node になってる
- 長距離への挑戦 (QKD, point-to-point)
- 421km Boaron et al.(three-state time-bin)(intermediate node なし)
- 404km Yin et al.(polarization, decoy)(intermediate node でBell state meas)
- 400km を超えるとGHzで送っても~10光子/s届くかなので検出器のダークカウントに埋もれてしまうのでもう無理
- なので本論文では200kmで区切って量子中継使おう
- Pirandola et al. direct transmission のlimit を計算
- channel 数に限りあるし、inputできるエネルギーにも限りがあるので、現実的には達成できない (理論上の) limit
- secret key capacity $\simeq 1.44\eta$ ($\eta$はtransmission効率)
- Twin-field QKD
- 測定器ノードを2ノードの真ん中に置く (intermediate node)
- 提案Rucamarini et al.
- 元になったものAzuma et al.: 多重化などによるParallell channel と破壊的測定を使っていた
- 実証Liu et al., Wang et al., Zhong et al.
- 提案Rucamarini et al.
- 各ファイバーの距離が半分になるので、transmission効率$\eta$が良くなる
- $\eta = exp(\frac{-L}{L_{att}})$ → $\sqrt{\eta} = exp(\frac{-L}{2L_{att}})$ (1つのファイバーが2つに分けられたため二乗すると$\eta$)
- 測定器ノードを2ノードの真ん中に置く (intermediate node)
一方、量子中継を使うとどうなるか
- 定義
- ノード
- 量子リピータ (quantum repeater): solid state のメモリを持つノード
- 量子リレー (quantum relay): メモリを持たず、(光子の)測定だけするノード (例: Twin-field のintermediate node)
- (線形光学ではベル測定は50%の確率で失敗するので、できればないほうが良い)
- リンク
- 量子中継セグメント (QR segment): 隣り合う量子リピータ間をQR segmentと呼ぶ。量子リレーの有無は問わない。
- 管理単位?
- 量子中継セル (QR cell): 量子リピータを中心に、量子リレーの半分まで (つまりその量子リピータで生成した光子が届く範囲)
- ノード
- 主張
- メモリが十分よければ、rate regime が$\eta$と$\sqrt{\eta}$の間になり、長距離までスケールするmodular building blockが完成する
- 量子中継ネットワークはtrust が不要になるだけでなく、量子リレーQKD と比べても距離に対してスケールする
- 概念的にも定量的にもchained point-to-point 量子ネットワークから進化する
- 量子中継の提案
- 初提案Briegel & Dur
- entanglement swapping で中継して purification でエラー管理する
- 量子エラー訂正でエラー管理するパターンもある
- Muralidharan et al. を引用してるが、提案はLiang et al.が正しい
- 初提案Briegel & Dur
- 量子中継の困難性
- Muralidharan et al. (再引用)
- Sangouard et al. 集団原子の量子中継のレビュー
- 量子中継器の各々のハードウェアコンポーネントの動作を実証したあと、全て組み合わせて動作させる必要がある (いかにも難しい)
- メモリ付き量子中継の実証
- Bhaskar et al. AliceとBobの光子をCharlieのsilicon vacancy in nanophotonic diamond resonator 量子メモリ(spin)に受け取ってからのBell State Measurement を実証
- 量子リレーと違って、異なるタイミングでやってくる光子同士をBSMできるから性能が格段に良くなる
- Bhaskar et al. AliceとBobの光子をCharlieのsilicon vacancy in nanophotonic diamond resonator 量子メモリ(spin)に受け取ってからのBell State Measurement を実証
- メモリの重要性
- entanglement swapping でE2Eで量子もつれを作るだけなら、1000km離れててもミリ秒のストレージがあれば、古典シグナルの時間をカバーできる
- 多分これは確率的entanglement swappingの話?下でdeterministicが出てくる
- 確率的であるpurification を実行しようとすると、purification毎に双方向の古典通信が必要となり、より長いストレージが必要になる
- deterministic なentanglement swapping と量子エラー訂正は要件を緩和すると見込まれる
- だが、量子エラー訂正するにはまだメモリ時間が短い
- Cho et al.
- 光子をファイバーループさせるのはloss rate 50%まで100us (50%を下回るとnon-cloning theoremでロス訂正不可能になる)
- Rbの集団原子で補助 (gradient echo memory (ってなんだ?)) すると50% loss まで0.6ms
- Cho et al.
- だが、量子エラー訂正するにはまだメモリ時間が短い
- entanglement swapping でE2Eで量子もつれを作るだけなら、1000km離れててもミリ秒のストレージがあれば、古典シグナルの時間をカバーできる
この研究
- 3タイプのパフォーマンスを比較する
- 対象3タイプ: 量子ドット、trapped quanta (イオン、原子)、NV-center
- 考慮:
- 光子の発生効率
- 検出器の検出効率
- メモリへの保存効率
- ファイバチャンネルでの光子ロス
- リピータのメモリでのdephasing
- クロック周波数 (これの影響はリピータープロトコルにも依存する)
- 不考慮:
- 検出器のダークカウント
- 長距離では影響大になるが、最近1ダークカウント/s以下であるため、そもそも比較したいrepeaterless とrepeater が拮抗する距離での影響は小さい (?)
- 検出器のダークカウント
- メモリの設定
- メモリの品質は実験で得られたコヒーレンス時間で与えられる
- ただし、量子状態をストレージする上限時間 (memory cutoff time) を(コヒーレンス時間より短い)任意の時間に決める。これにより、
- メモリのdephasing が品質に与える影響を抑える
- secret key fraction を操作可能になる
- Collins et al. を引用しているが、この論文自体は、メモリと通信を多重化しておき、A側のメモリの任意の量子ビットがB側のメモリの任意の量子ビットと繋げられるようにしておけば、A側で2個のentanglement 生成に成功するもB側で1個だった場合にA側の1個は次のtime unitに持ち越せる、他のメモリはさっさとvacuum state にresetしようというもので、dephasing を避ける目的でresetするものではない。
- 比較する性能: secret key rate
- secret key rate は無次元かつHzで表せない (どういう意味だろう?)
- よって、クロック周波数は、量子中継器のパフォーマンスに間接的にのみ影響する
- 間接的: クロック周波数は直接的には時間経過で溜まるdephasing とmemory cutoff time に影響する