Quantum Community メモ @ 慶應義塾大学 矢上キャンパス 2016/12/19,20

Posted on December 19, 2016
Tags: quantum computation, 雑記

強磁性半導体とスピントロニクスの新しい展開 田中 雅明 氏(東京大学大学院工学系研究科)

両者の良いところを組み合わせるとスピンに依存する新しい現象を生み出せる

そのためには新しい材料が必要。材料を作るところから始める。強磁性を示す半導体3-5族半導体のマンガンにガリヒ素を入れるとp型強磁性を示す。21%マンガンを入れても結晶構造は変わらない。Tcは200Kくらい。
4族でも同様のことが出来る。轍をゲルマニウムに9%くらいドープすると強磁性になる。

強磁性のn型はこれまでなかったが、Inに轍をドープした材料。波動関数を動かすことで電気的自制制御が出来る。 Hai, Anf, Tanaka, APL2012, APR2014, PRB2015, PRB2016.

目標とするデバイス:スピントランジスタ 巨大磁気抵抗を示すGMR素子。 磁気抵抗素子:磁気で抵抗を操作する。磁化が抵抗か反抵抗かでスピンに依存する電導特性を示す。

スピン(磁化)によって操作される平行磁化のときと反平行磁化の向きによる伝達特性(出力可変)な特性をもつトランジスタ

実用上望まれるのはMOSFETと同じ構造で磁化を含むトランジスタを作ること ソースとドレインに強磁性体を使う

ゲート電圧でもオン・オフを制御出来る。

論理回路に応用するには平行か反平行かで出力差が大きくなければならないが、現状小さいので、改良が必要

界面や材料の問題がある。強磁性半導体で実現しようと研究している。

幅500nmにすると性能が良くなりそう。イオン液体を垂らすことで電気二重層が出来て電界がかかる。TMRも数十パーセントの、磁化による電流の変調が観測された。 500nm中で実際に変調しているのは両側数nmだが動作しているのは何故か。実は磁化全体が15度くらい回転している事が分かった。すると抵抗値の高い場所が変わる?


量子井戸構造に基づく金属薄膜における磁気機能の誘導 佐藤 徹哉(理工学部物理情報工学科)

磁気デバイスのさらなる低消費電力化という要請が背景

電気磁気効果を利用した物質の磁性制御法が注目されている

汎用的な制御方法や大きな自発磁化の発現が困難。大きな自発磁化を有する磁性体の磁性秩序の制御と汎用的な制御方法の開発が目的。

非磁性金属Pdナノ粒子の(100)面にだけ強磁性が発現。形状変化のみで非磁性金属に磁気秩序が発現する。(100)Pd薄膜の強磁性、膜厚に依存して自発磁化が振動的に変化する。振動周期が量子井戸構造に基づく計算と一致する。大気中においても、大気の吸着により磁化は10%程度減少するが、強磁性は消失しない。Pd(100)では面方向に状態が離散化。バルクPdは(100)に平らな形状のフェルミ面を有する。

量子井戸構造の式 1-k_F=(j+/N) の変数はどれも操作出来る


量子システム制御理論 山本 直樹(理工学部物理情報工学科)

サイバネティクスとはそもそも、通信工学と制御工学を融合し、生理学、機械工学、システム工学を統一的に扱う学問体系。本研究の分野では、物性応答、熱現象、波動力学などを、システム論敵観点から統一的に記述。複雑化・大規模化する量子システム。

量子システムは複雑化・大規模化している。こういったときに出来ることは、原理に立ち返り、

の三つの動作をループして実行する。これにより、望ましいシステムを獲得する。

量子フィードバックで測定すると状態が壊れるのでないか。QNP。


ダイヤモンドNV 中心における量子制御と磁気センシング 阿部 英介(先導研究センター)

NVセンターはスピン1を持っている。

NVスピンの利点

NVスピンの応用

今日の内容


量子最速降下線法 Quantum Brachistochrone 古池 達彦(理工学部物理学科)

量子状態を操作する最も速い方法は?

古典の場合:

ゴールまで玉を打ち出すときどう軌道を作ってやればよいのか。→サイクロイド。変分してといた。

T=(インテグラル) ds/v

量子の場合

量子系においてハミルトニアンを変化させて状態を移す時間を最小化したい。

距離と速さを量子状態の空間における速さと考える。
ds^2=( 1- ) v^2 = (E)^2 = (H - H)^2 速さとはその状態におけるエネルギーの揺らぎ

使って良いハミルトニアンには制限がある、とかの拘束条件を考えたい。 変分を解けば時間最適なハミルトニアンになっているような常微分方程式が最速降下線方程式。

スピン1/2の1 qubitの向きを磁場でコントロール。 磁場の向きをどっちにとっても良ければ、X軸向きのスピンを-X軸にしたければZ向きに磁場をかけておけば良い。
磁場がXY平面内に限られている場合にどうするか→本研究。

QBの応用例

QBの実証実験
Geng et al. PRL 2016

まとめ


量子固体ヘリウムの特異な物性 白濱 圭也(理工学部物理学科)

ナノスケールにヘリウムを閉じ込めることで起こる量子現象について研究

今日は、固体ヘリウムの超流動について話す。固体ヘリウムは回すと柔らかくなるのではないか。

25気圧まで加圧することで固体を作れる。個体になっても零点振動が働く。ヘリウムは量子固体の代表例。 固体でありながら原子は位置を激しく動いている。 固体内でリング状に交換相互作用する。 粒子が位置交換しなければ、粒子の「量子統計」を論ずる意味はない。 粒子が位置交換可能なら、量子統計の効果→波動関数の重なり→ボーズアインシュタイン凝縮するのではないか?

固体 ^4He なら超流動と固体という相反する概念を両立出来る?→実験してみた結果、実は超流動ではなかった。固体ヘリウムの硬化現象だった。固体ヘリウムが低温で硬くなる原因も判明している。 硬化現象は固体ヘリウムの量子性の反映。


分子の圧力幅のオルト/パラ依存性 佐々田 博之(理工学部物理学科)

分子のスペクトルは圧力に依存する。幾何学的断面積より遥かに大きな衝突面積なので、分子間相互作用で衝突が起こっている。ランダムではなく選択則がある。 調べるには、

衝突遷移の選択則

分子スペクトルの圧力幅は遷移に依存する

回転共鳴を起こす衝突相手の数がオルトとパラで違う。そもそもの数がオルトの方が多い。


金属内包シリコンナノクラスター超原子 中嶋 敦(理工学部化学科)

気相ナノクラスター

気相合成で発見された新規ナノ構造体 C^{60}, MSi_{16}, M_8C_{12} 来そうにおける物性評価

金属内包構造体を物質群として利用できる形にしたい

メタルが入ると突然安定化するメカニズムがあるはず。

超原始的な性質(superatom) 68電子閉殻

-3族:擬ハロゲン -4族:擬希ガス -5族:擬アルカリ金属

ナノクラスターを作る上での1つのポイントは生成源の研究開発。ナノクラスターを起点とする材料科学に発展させることを通じた新しい産業技術の創生。 超精密マイクロリアクターの開発。

TaSi_{16}ナノクラスター超原子の薄膜化

結局何に使えるのか分からん。


量子乱流と相互作用する常流体の速度分布について 小林 宏充(法学部・自然科学教育センター)

古典力学の世界で乱流を研究してきた。量子乱流の先生と出会ってこっちに踏み込んだ。

超流動ヘリウム→粘性ゼロの超流体と粘性を持つ常流体の混合である2流体モデルになる

乱れた中で渦の領域が発生する。 渦度の強い領域は粘性と散逸が釣り合う。 古典流体の中では渦は大きなものから小さなものまでいろんなものがある。

超流体中の量子渦。 量子凝縮→秩序変数→巨視的波動関数。 超流動速度場内で循環が量子化される。 ヒモのような渦が出来る。

量子渦の可視化

まとめ

超流体と常流体のカップリングで、

から量子流体力学・料理乱流統計力学の進展を目指している


〈久保亮五記念賞受賞記念講演〉 量子孤立系の熱化現象の統計力学的考察 齊藤 圭司(理工学部物理学科)

量子系の熱的振る舞いの研究
- 量子系の熱、電子伝導 * counting statistics * Kondo physics - 量子系の熱力学 * quantum heat engine - 量子系の熱力学とダイナミクス * quantum dynamics * thermalization

量子孤立系の熱化現象 Kinoshita et al., nature 2006

冷却原子系で孤立系を考えて、可積分系にしてやる デルタ関数的相互作用まで解けてしまう 可積分系では保存量があるから熱化しない
最近盛んに実験が行われる
外界の影響を受ける前の量子孤立系での統計物理学の基礎へ
何の物理量を見るかで熱化が起こる→非可積分系では熱化する

孤立系でどういう熱化のメカニズムがあるかのtableを作りたい

さらなる動機: 周期駆動外場での(非)熱化現象の実験 - 例1: 周期外場は新しい有効ハミルトニアンを形成 Jotzu et al, nature 2014 - 例2: 周期外場による超伝導体でのHiggs modeの出現

疑問:周期外場をかけた実験では、なぜ熱化が起こらないのか?

周期的な時間発展の議論ではFloquet 理論が使われる。
e{-iH_FT}=T_e{-i _0^T dt H (t)}
固有値と固有状態が分かっていたら、周期Tで時間発展を見ると、固有状態と固有値を使って展開出来る。全ての情報を知っているH_Fがとても大事。

Floquet-Magnus展開

結果、

  1. 擬保存量の存在
  2. 熱化は擬保存量に抑制されて指数関数的に長期間保存される
  3. 色んな物理量がその擬保存量にトラップされる

まとめ

準安定な状態は、離散的かつほぼ共鳴がない状態になっているため発生する。


欠陥を導入した高配向性グラファイトHOPGの小角散乱による構造評価 千葉 文野(理工学部物理学科)

グラファイトは原子炉の減速材にも使われる。減速材として使うと中性子がぶつかって欠陥が発生する。研究的には新しい構造が生成されてないかが気になる。


ナノカーボンエレクトロニクス 粟野 祐二(理工学部電子工学科)

東芝のフラッシュメモリは縦積み。高密度化の線幅は、fineでlow resistivityの配線が必要になる。縦配線も必要。今の銅配線では無理。

抵抗の話:配線幅が細くなるとバルクの銅の抵抗が低い特徴はなくなる。線幅が細くなると今の銅では抵抗が高くなる。銅以外では、銀は動き回るし、特にない。 カーボンナノチューブやグラフェンではバリスティック位相という無散乱の状態がある。カーボンナノチューブを束ねたものやグラフェンを重ねたものはどうか。

高速?配線をすると切れる問題がある。2013年の国際半導体技術ロードマップ。下から成長させる方法だとアスペクト比的には細くて高い形状を作れる可能性がある。

Awano et al. Proc. of the IEEE 98-12, p 2015, etc.

微粒子の種から成長させると、微粒子の直径に対応するサイズのチューブが出来る。 カーボンナノチューブを大量に生えさせる大量生産技術を開発した。 密度では、縦に伸ばす分には最高密度でCambridgeの1013/cm-2

電流を流し続けてどこで切れるかの実験も行われている。

細くて深い溝の底からどうやってナノチューブを生やすか。 - CVDでbarrier メタルとcatalytic metal - 全面には生えないように、生やしたくない部分からは種を取り除くとか

グラフェンもかなり良いものが出来ている - 他の基盤に移すと実験は出来る? - dopingを施すと抵抗率が3.2マイクロオームセンチメートル - 格好はLSIプロセスで出来るようになってきた

質疑:

光を閉じ込めることで物質との強い相互作用を実現する 田邉 孝純(理工学部電子工学科)

欲しい光共振器: - high Q - 小さい - 性能が良い

作られる場所: - 半導体チップ上 * 屈折率が高いの波長が高くなる分、小さく出来る - シリカや結晶材料の上 * 大きくなるが、散乱材料がhogeで吸収が良いので良い共振器になる

共振器の中ではQ/Vに比例して共振時間が短くなる?長くなる?

シリコンに空気の穴を掘る事で空気とシリコンの屈折率差で光をフォトニックバンドギャップ内に閉じ込める

導波路の幅を決めるとカットオフ周波数(伝搬できる周波数)が決まる。 両側は幅が狭いのでカットオフ周波数が上がり、反射する